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幸せを遠ざける癖について

先日、『幸福のための人間のレベル論』という本を読んでみた。

タイトルだけ見ると、なんだか少し怪しい自己啓発本っぽくも見えるのだけれど、実際に読んでみると意外と人間観察の本として面白かった。

著者は人間を9つのフィールドに分類している。

・けだものフィールド
・きつねフィールド
・うさぎフィールド
・チワワフィールド
・ハリネズミフィールド
・ねこフィールド
・ライオンフィールド
・ペガサスフィールド
・お釈迦様フィールド

最初は「さて、自分はいったいどこら辺なんだろう」と思いながら読み始めた。

こういう分類ものを見ると、つい診断テスト感覚になってしまう。

血液型占いでもMBTIでもそうだけれど、人はどうも「自分は何者なのか」を知りたがる生き物らしい。

もっとも、この本で面白かったのは、著者がこの9つを人間の優劣として扱っていないところだった。

けだものフィールドの人が劣っていて、お釈迦様フィールドの人が偉いという話ではない。

ただ、上位のフィールドにいくほど幸せを感じやすい考え方や生き方をしている、という説明になっている。

だから読んでいても、「お前はまだレベル3だ」みたいなゲーム感覚ではなく、「自分はこういう考え方の癖があるな」という自己分析に近い。

そして本を読みながら気付いた。

私はたぶん、自分がどのフィールドにいるかよりも、人間という生き物がどうしてそんなに複雑なのかの方が気になってしまう。

同じ出来事が起きても、笑う人もいれば怒る人もいる。

誰かに親切にされたら素直に喜ぶ人もいれば、「何か裏があるんじゃないか」と疑う人もいる。

休日に何をしても自由なのに、一日中スマホを眺めて終わる人もいれば、山に登る人も、本を読む人も、昼寝だけで幸せな人もいる。

人間というのは本当に面倒くさい。

そして、その面倒くささこそが面白い。

本の中では、それぞれのフィールドごとに特徴や考え方の傾向が説明されているので、「ああ、こういう人いるな」と思う場面が何度もあった。

職場のあの人。

昔の自分。

たまに現れるSNSの知らない誰か。

そして、できれば認めたくないけれど今の自分。

そう考えると、人間関係で悩む理由も少し見えてくる。

相手がおかしいのではなく、見ている景色が違うだけなのかもしれない。

もちろん現実は9つにきれいに分類できるほど単純ではない。

朝はライオンでも夜にはチワワになる日だってある。

私など、月曜日の朝はだいたい冬眠から起こされたクマみたいな顔をしている。

それでも、自分の考え方の癖を知るための地図としてはなかなか面白い本だった。

本を読むたびに思う。

結局のところ、幸せになる方法を教えてくれる本というより、自分がどんなふうに幸せを遠ざけているのかを教えてくれる本の方が役に立つ。

人を変えるのは難しい。

世の中を変えるのも難しい。

でも、自分の考え方の癖に気づいて良い方向に変えることなら案外できるかもしれない。

そんなことを考えながら本を閉じた。

そして私は今日も、自分がどのフィールドにいるのかよく分からないまま、コーヒーを淹れている。

たぶんそれでいいのだろう。

そして、今日もヒゲをととのえる。

『幸福のための人間のレベル論』(著:藤本シゲユキ 出版社:さくら舎)/Amazonより

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